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コース設計者

コース設計者J・E・クレイン
ジョー・アーネスト・クレイン
英:Joseph Ernest Crane/1892年(明治25年)5月27日~1980年(昭和55年)3月30日

大正9年に開場した鳴尾ゴルフ倶楽部の設計に従事した後、同年ジョー・アーネスト・クレイン氏の設計第1号となる「垂水ゴルフ倶楽部」が開場しました。彼が手掛けたゴルフ場は全国で23コース、穂高カントリークラブは16番目のコースです。
コースづくりの魔術師(マジシャン)と呼ばれた彼の設計理念は、「戦略性」を最も重視することです。上級者からアベレージゴルファーまですべてのプレーヤーを満足させるコース造りを心掛け、各ホールには「タイガールート(バーディー、パーで攻めるルート)」と「ラビットルート(パー、ボギーで守るルート)」を用意し、グリーンは1グリーンを基本としました。また、ブラインドホールを極力避けてプレー進行をスムーズにすること、高低差のある地形や丘陵地であってもフラットなコースを造ること、そしてできるだけ自然を残すことなどです。
▼ おもな設計コース一覧
  • 1920年(大正9年)
    ・垂水ゴルフ倶楽部(旧・舞子カントリー倶楽部)兵庫県神戸市
  • 1930年(昭和5年)
    ・鳴尾ゴルフ倶楽部 兵庫県川西市
    ・岡山霞橋ゴルフ倶楽部 岡山県倉敷市
  • 1959年(昭和34年)
    ・花屋敷ゴルフ倶楽部・ひろのコース 兵庫県三木市
  • 1960年(昭和35年)
    ・泉南カンツリークラブ 大阪府泉南市
  • 1961年(昭和36年)
    ・三好カントリー倶楽部・西コース 愛知県三好町
    ・西宮高原ゴルフ倶楽部 兵庫県西宮市
  • 1962年(昭和37年)
    ・大熱海国際ゴルフクラブ 静岡県伊豆の国市
  • 1964年(昭和39年)
    ・宝塚高原ゴルフクラブ 兵庫県宝塚市
    ・さなげカントリークラブ 愛知県豊田市
  • 1965年(昭和40年)
    ・千刈カンツリー倶楽部 兵庫県三田市
    ・日本ダイヤモンドゴルフ倶楽部 和歌山県那智勝浦町
  • 1966年(昭和41年)
    ・日清都カントリークラブ 京都府宇治市
  • 1969年(昭和44年)
    ・三好カントリー倶楽部・東コース 愛知県三好町
    ・月ヶ瀬カントリークラブ・東コース 京都府相良郡
  • 1972年(昭和47年)
    穂高カントリークラブ 長野県安曇野市
  • 1973年(昭和48年)
    ・真庭カンツリークラブ 岡山県真庭市
    ・三田レークサイドカントリークラブ 兵庫県三田市
  • 1974年(昭和49年)
    ・明智ゴルフ倶楽部 岐阜県恵那市
  • 1975年(昭和50年)
    ・るり渓ゴルフクラブ 京都府南丹市
  • 1976年(昭和51年)
    ・こんぴらレイクサイドゴルフ倶楽部・東コース(2017年(平成29年)閉鎖)香川県まんのう町
  • 1978年(昭和53年)
    日本海ゴルフ倶楽部・稲葉山コース 鳥取県岩美町
  • 1980年(昭和55年)
    篠山ゴルフ倶楽部 兵庫県篠山市

コース設計への思い

穂高カントリークラブは北アルプスの山麓、標高720~805mというロケーションにあり、コース内は斜めに「ドンス山」といわれる急斜面が走っています。この自然の地形をできる限り生かし、素直なレイアウトにすることが設計の基本となりました。
設計当時78歳のクレイン氏は、穂高カントリークラブを「自身の代表作の一つとしたい」との思いを胸に、精力的に山林を歩きコースレイアウトの構想を練っていきました。開発途中に発見された「離山遺跡群」の保存や利用用地の変更等で設計変更を余儀なくされましたが、それらを巧みに生かして現レイアウトができ上がりました。そのコースレイアウト案の遍歴は以下の通りとなります。
コースレイアウト第1案
コースレイアウト第1案
コースレイアウト第2案
コースレイアウト第2案
コースレイアウト最終案(確定図)
コースレイアウト最終案(確定図)
最終案では、標高約780m地点のクラブハウスを中心に、下部にアウトコース、上部にインコースを配置、フラットな部分とアップダウンを巧みに利用し、戦略的に仕上げていることが特徴です。そのうえクレイン氏が伐採を禁じた杉や檜の老木が、あちこちで球筋の打ち分け技術を要求してきます。
ドンス山の急斜面は、13番グリーンで大きく切り盛りしただけで、そのほかの部分、例えば18番の打ち下ろし、15番の急な下りなどは原地形をそのまま使っています。クレイン氏は15番の斜面を切り下げしたかったそうですが、大きな点石が埋まっていてどうにもなりませんでした。
クレイン氏自身は、13番パー4の刻々と変化する眺めがお気に入りでした。安曇野の平野と北アルプスの山並み、雄大な景観の中でのプレーは日常を忘れさせ、ゴルフの楽しみへといざなってくれます。
設計図面を見るJ・E・クレイン氏
一服しながら構想を練る
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